建物明渡しの強制執行3(申立て)
今回は、建物明渡しの強制執行の申立てに関する話です。建物明渡しの強制執行1(執行の準備)からご覧いただければ幸いです。
1申立て先
明渡しを求める不動産の所在地を管轄する地方裁判所の執行官に対し書面で申立てをします。
強制執行は、その具体的方法により、申立て先が裁判所か執行官かが変わってきます。不動産競売手続や債権執行手続は裁判所(書記官室)に申立てをしますが、建物の明渡しは執行官(執行官室)になります。執行官室は、各地方裁判所の中にあります。
2申立書の記載
申立書の記載事項は、民事執行規則21条に定められています。定型の申立書の空欄を記載していけば必要十分な申立書になりますので、それほどの心配は無用です。
定型の申立書は、各種文献に記載例がありますが、各執行官室でも入手することが可能です。専門家に依頼せずに自分ですべて行われる場合は、添付書類やその後の手続の流れの説明もありますので、一度直接、執行官室を訪れてみるのも良いかもしれません。
3申立書以外の添付書類
一般的には、次のような書類が必要です。
⑴執行力ある債務名義の正本(執行文を付与してもらった判決正本など)
⑵債務名義の送達証明書
⑶当事者目録、物件目録
⑷当事者が法人である場合の資格証明書、代理人に依頼した場合の委任状
⑸目的不動産の場所の地図(執行場所の確認のための住宅地図など)
この他にも、執行の範囲が明確になるように、建物図面や登記事項証明書などの提出が必要になる場合もあります。
4執行予納金
建物明渡しの強制執行をするためには、執行官の手数料等の執行費用を予納する必要があります。
一般に公開されている東京地裁の例で言うと、基本額は6万5000円になります。これに債務者が1名、物件が1件増すごとに2万5000円を加算します。
なお、この予納金はあくまで執行官手数料等に使用するものであり、実際の明渡し執行において執行補助者に支払う費用(作業員日当、遺留品運搬費用、解錠技術者費用など)は含まれていません。
この費用は、依頼する業者や物件の大きさ、残置物の量などにより非常に開きがあります。独り暮らしのアパートなど比較的小さな物件でも15万円程度から、ファミリータイプのマンション等であれば50万円程度かかる場合もあります。
そのため、申立人(債権者)側で多少の引っ越し費用を負担したり、明渡し期間を猶予するなどの譲歩をしたとしても、賃借人が荷物をもって任意に退去してくれた方が結果的にずっと経済的なことが少なくありません。そういう点から、強制執行は相手方と話し合いができない場合などの最終手段となります。
5執行官への協力
建物明渡しの強制執行は、申立人(債権者)と執行官の協力が不可欠です。前述した図面等の追加提出による対象物件の特定の協力もその一つです。
その他にも、債務者(占有者)の態度や属性、占有状況などの情報を債権者と執行官が共有することにより、執行官は、警察に対する援助請求や福祉機関に対する援助要請の要否、解錠の可能性の判断や執行補助者(作業員、運送業者、保管業者など)の手配などを正確に行うことができるのです。
流山パーク司法書士事務所にご相談ください
建物明け渡しの手続は、時間も労力も非常にかかる手続です。任意の交渉から始まり、保全・訴訟・強制執行と様々な手続を駆使する必要もでてきます。
当事務所では、こういった裁判所に提出する書類の作成は勿論のこと、建物明け渡しという最終的な目的達成まで様々なお手伝いをすることができます。
少しでもご心配な点があれば、まずは当事務所にご相談ください。当初のご相談は無料で時間制限なく行っていますのでお気軽にお問い合わせください。ご連絡お待ちしております。
以 上
合わせて建物明け渡し・滞納賃料回収のページもご覧ください。