債権執行の質問(執行費用その他編)

 今回は、債権執行についてよくある質問「執行費用その他編」です。
 手続全般の質問と回答は、以前のコラム「債権執行の質問(手続全般編)」をご覧ください。

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司法書士 佐藤俊傑

債権執行の質問(執行費用その他編)

1 債務者がアパート経営で得ている賃料の差し押さえをする場合、申立ての際どこまで調べておく必要があるのか?

 まず、債務者が第三者に賃貸している賃貸物件の所在地(アパートの一室であれば「○号室」まで)を正確に調べる必要があります。

 次に、第三債務者、すなわち債務者に賃料を支払っている賃借人の住所氏名を調べる必要があります。第三債務者が法人の場合は、そのほかに代表者の氏名も必要になりますが、法人の登記簿は誰でも閲覧が可能ですので、そこから調べることができます。
 法人の登記簿(全部事項証明書)は、申立書の添付書類として必要になります。

2 債務者が賃貸人(大家)に差し入れている敷金の差し押さえをする場合、申立ての際どこまで調べておく必要があるのか?

 まず、債務者が第三者から賃借している物件の所在地(アパートの一室であれば「○号室」まで)を正確に調べる必要があります。

 次に、第三債務者、すなわち債務者が敷金を預けている賃貸人の住所氏名を調べる必要があります。第三債務者が法人の場合は、上記1の場合と同様のことが言えます。

 なお、敷金の差押えは、その元となっている賃貸借契約が終了し、物件が明け渡された後に返還される「敷金の返還請求権」を差し押さえるものなので、賃貸借契約の終了後、未払賃料や原状回復費用等が相殺された後の残金について取立てができることになります。

3 勝訴判決を取得した父が死亡したが、その債務名義で強制執行はできるのか?

 死亡した父(原告、債権者)が有していた債務者(被告)に対する請求権は、相続人が相続することになります。そして、各相続人は、自己の相続分について強制執行の申立てをすることができます。
 ただし、強制執行の申立てをする場合は、その前に、債務名義に承継執行文を付与してもらう必要があります。執行文の付与は、裁判をした裁判所の書記官に申し立てることになりますが、その際に全相続人が判明する戸籍謄本や住民票などが必要になりますので、事前に裁判所に確認が必要です。

4 勝訴判決を取得した後、債務者(被告)が死亡した。その債務名義で強制執行はできるのか?

 死亡した債務者(被告)が負担する債務は、被告の相続人が相続分に従って相続することになります。強制執行は相続人に対して行うことになりますので、まずは被告の相続人を調査する必要があります。
 相続人が存在する場合、同人に対して強制執行をするためには、前述3と同様に債務名義に承継執行文を付与してもらう必要があります。

5 訴訟を提起したときの印紙代や切手代についても強制執行をすることはできるのか?

 訴訟提起の際に納めた収入印紙、郵便切手(返還分は除く)等は「訴訟費用」となります。

 訴訟において「訴訟費用は被告の負担とする。」という判決がされた場合には、訴訟費用を被告に請求することができます。
 これに対して、訴訟の中で和解をし、「訴訟費用は各自の負担とする。」とした場合には、訴訟費用を相手方に請求することはできません。

 さて、訴訟費用を被告に請求できる場合であれば、強制執行手続を利用して回収を図ることができますが、その場合には、まず「訴訟費用額確定手続」をして、訴訟費用を回収するための債務名義を得る必要があります(当初の勝訴判決等とは別の債務名義が必要ということです。)。

 訴訟費用額確定手続は(第一審の)裁判をした裁判所の書記官が担当しますので、詳細はそちらの窓口で説明を受けてください。
 そして、訴訟費用額確定の処分書正本(事前に、執行文の付与及び処分書正本の送達証明書の取得が必要です。)に基づいて強制執行をすることになります。

6 執行費用の取り立てはどのようにするのか? 

 強制執行の費用として必要なものが執行費用です。

 執行費用は、当該強制執行手続の中で同時に取り立てることができます。「訴訟費用」のように別途確定手続は必要ありません。債務名義に記載された金額と共に、債権執行手続の請求債権に加えることができます。

 執行費用の典型的なものは、申立手数料(収入印紙代)、申立書作成及び提出費用、執行文付与手数料及び送達証明申請手数料などがありますが、強制執行の方法により具体的な費目は様々であり、実務上は、裁判所ごとに請求できる費目及び金額をあらかじめ決めているのが実情です。

流山パーク司法書士事務所にご相談ください

 裁判は勝訴すること自体よりも、その後の強制執行など実際の権利実現手続の方がよっぽど大変なことも多いです。
 それだからこそ、しっかりと手続を熟知した専門家に依頼することが最も問題解決に適していると言えます。
 
 特に強制執行手続は訴訟と違い、申立て後は原則として裁判所に出頭することなく進行していく手続ですので、司法書士に書面作成業務を中心に依頼されることが非常に馴染む手続と言え、費用対効果の面からも優れていると言えるでしょう。

 当事務所では、訴訟手続から各種保全手続・執行手続のご相談、書類作成等を承っております。少しでもご心配な点があれば、まずは当事務所にご相談ください。当初のご相談は無料で時間制限なく行っていますのでお気軽にお問い合わせください。ご連絡お待ちしております。

以 上

合わせて債権回収のページもご覧ください。
コラム「債権執行の質問(手続全般編)」はこちら
コラム「債権執行の質問(給料編)」はこちら
コラム「債権執行の質問(預金編)」はこちら

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