破産手続の質問(資産編)
今回は、破産手続についてよくある質問「資産編」です。破産申立てによって所有する財産がどうなるのかという点の質問と回答をご紹介していきます。
「債務整理・破産」のページでも破産手続に関するQ&Aをいくつかご紹介していますが、それよりさらに具体的・詳細なものになります。
破産手続の質問(資産編)
1 破産をすると、資産(自宅の土地建物や家財道具、車など)はどうなるのか?
破産手続は、破産者の財産を換価し(お金に換え)、それを債権者に配当することが本来の趣旨ですので、原則として破産者の有するすべての財産は強制的に換価されます。
不動産であれば、破産手続の中で任意売却されたり、抵当権者によって別途競売手続にかけられたりします。自動車についても、ローン支払い中の車であれば引き揚げられてしまうのが原則です。
しかしながら、実際に個々の財産がどうなるかは、破産者一人一人の事情によって異なり、必ずしもすべての財産を失ってしまうわけではありません。
すなわち、次のような場合があります。
① 破産者の最低限の生活を保障するため、そもそも換価することが禁止されている財産があります(例えば、生活に欠くことができない一定範囲の衣服や家具等、給与の一部(民事執行法152条)、生活保護受給権など。)。
(※ただし、③の場合は、破産者自身が債務の弁済をしたり、破産者自身の資金で買い取るのであれば、脱法行為になってしまうため、その点はきちんと審査されることになります。)
なお、自宅土地建物などの不動産は、前述のとおりいずれは売却処分されてしまうことになりますが、破産申立てをしたら即座に退去しなければならないというものではありません。
2 破産をすると、賃借しているアパートを退去する必要があるのか?
「不利益編」で述べたとおり、破産したことを周囲に知られることはほとんどないでしょうから、賃貸人(大家)が破産の事実を知って問題になることも実際にはまずないと思われます。
なお、借主が破産をしたからと言って、それだけを理由に賃貸借契約を解除することはできません。
しかし、次の場合には注意が必要です。
しかし、①のとおり家賃滞納を理由に賃貸借契約の解除は考えられます。そのため、家賃の滞納はあるけれども、そのままその住居を借り続けたい場合には、滞納家賃の扱いについて別途検討が必要です。
なお、家賃の支払いは、生活の基盤である住居を維持するための必要不可欠な支払ですので、破産手続中も支払をすることは問題ありません。
3 破産をすると、年金は打ち切られてしまうのか?
国民年金や厚生年金等の年金受給権も、法律上、差押禁止財産となっているため、年金が打ち切られることはありません。
4 破産をすると、退職金はどうなるのか?
退職金は、破産手続では資産とみなされます。
ただし、退職金はまだ現実には存在しない将来の資産のため、実際にいくら受給されるのか不確定な部分があります。そのため、破産手続では、破産者に退職金額の見込み額の資料を提出してもらい、その金額の一部(おおむね8分の1の額)を資産として扱い、それを債権者に配当することになります。
もちろん、実際に会社を退職するわけではないため、手元に退職金は1円もありませんので、その代わり、その8分の1相当の金銭を他から用意することになります。具体的には、自由財産(破産手続開始後に新たに取得した資産など、破産者が自由に処分できる財産)から支払をいしたり、親戚縁者から借用したり(贈与を受けたり)して用意することになります。
5 破産をすると、生命保険はどうなるのか?
解約返戻金のある生命保険は、破産手続では資産とみなされますので、原則として、解約されてその返戻金を債権者に配当することになります。
ただし、年齢や病状などにより、解約するわけにはいかない保険もあります。そうすると、前述の退職金の話と同様、解約返戻金相当の金銭を代わりにどこから用意すべきかという問題に突きあたります。
解約されては困る保険については、自由財産拡張制度の利用などにより換価することを回避できないかをまず検討すべきです。
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以 上
合わせて債務整理・破産のページもご覧ください。
コラム「破産手続の質問(申立て編)」はこちら
コラム「破産手続の質問(不利益編)」はこちら
コラム「破産手続の質問(免責その他編)」はこちら