遺産分割(2)(相続人の範囲)
今回は、遺産分割についてのお話しの続きです。今回からは、裁判所でおこなう遺産分割調停について具体的な疑問点・問題点のご紹介をしていきます。
まずはコラム「遺産分割⑴」からご覧いただければ幸いです。
相続人の範囲の確定
前回お話ししたとおり、これが決まらないと遺産分割協議(調停)をするメンバーが決まりません。
遺産分割は相続人全員の関与がなければ無効になってしまいます。これは遺産分割協議であろうと遺産分割調停であろうと同じです。
相続人の範囲は、通常は戸籍を追っていけば特定できます。もちろん、被相続人に離婚歴があったり、縁遠い相続の話だったりするために、全く会ったこともない相続人が出現することも珍しくありません。
さて、認知や嫡出否認、養子縁組無効など、相続人の範囲に影響を与える身分関係に争いがある場合もあります。絶対数としてそう多くはないでしょうが、仮にこういった身分関係の争いがあった場合は、遺産分割の前提問題として、その内容により家事審判や人事訴訟で解決を図る必要があります。
相続人の範囲に関するその他の問題点
以下の問題点は、「相続人が誰か」というよりは、「実際に遺産分割に参加するのは誰か」という点についてのものです。相続人の範囲に関連する問題点として、ここでご紹介しておきます。
1 相続人の中に行方不明者(生死不明者)がいる場合
相続人が行方不明である場合にも、これを無視して遺産分割をすることはできません。この場合は、家庭裁判所に対して「不在者財産管理人の選任」の申立てをし、選任された不在者財産管理人がその行方不明者に代わって遺産分割手続に参加することになります。
なお、一定期間生死が不明の場合には、「失踪宣告」制度もあります。
詳細は、コラム「行方不明者がいる場合の遺産分割協議」をご覧ください。
2 相続人の中に胎児がいる場合
母親のお腹の中にいる胎児は、相続に関しては「既に生まれたものとみなす(民法886条)」とされていますので、相続人の地位を有することになります。
ただ、実際問題として、死産のときもあり、特別代理人の選任や登記などの派生的な問題もあるため、胎児の出生を待たずに急ぎ分割手続を進める必要があるのか、時期や方法について個別に検討が必要になります。
3 相続人の中に未成年者とその子の親権者がいる場合
原則としては、未成年者の法定代理人である親権者が、その子に代わって遺産分割手続に参加することになりますが、その親権者も相続人である場合は、親権者と子が利益相反関係に立つことになるので、その子のために、 家庭裁判所に対して、「特別代理人の選任」の申立てをする必要があります。
詳細は、コラム「特別代理人~親権者と子の利益相反」をご覧ください。
4 相続人の中に認知症などにより判断能力が十分ではない者がいる場合
この場合は、成年後見制度により選ばれた成年後見人(又は保佐人、補助人)がその相続人に代わって、遺産分割に参加することになります(なお、保佐人及び補助人については、遺産分割手続についての代理権を有していることが前提です。)。
次回以降に続きます。
「相続人の範囲」が確定した次は、「遺産の範囲」の確定に関連するお話しをしていきたいと思います。
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当事務所では、「相続に関する各種登記手続」はもちろんのこと、「遺産分割調停申立書」や「相続放棄申述書」などの裁判所提出書類の作成、「遺産分割協議書の作成」「公正証書遺言の作成」など、相続や遺言についての問題解決に向けて幅広くお手伝いをすることができます。
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以 上
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