遺産分割(1)(調停のポイント)
今回から何回かに分けて、遺産分割、主に遺産分割調停についてのお話しをしていきたいと思います。
遺産分割の意義
被相続人が死亡し、相続が開始すると、被相続人が有していた財産は相続人に移転します。この際、相続人が複数いる場合は、相続人全員の共有状態となります。
この共有状態はあくまで暫定的な状態であり、ここから各相続財産の権利者を確定させる手続が遺産分割手続になります。
遺産分割協議と遺産分割調停・審判
遺産分割は、法律上、まず相続人間で話し合って決めるのが原則となっています(民法907条)。そして、相続人間では話し合いがまとまらない場合に、裁判所に対して遺産分割の申立てをすることになります。
裁判所への申立ては、話し合いが基本の調停手続と、判決のように裁判所が判断を下す審判手続がありますが、一般的には調停の申立てをし、調停でも話し合いがつかない場合は審判手続に移行することになります。
遺産分割調停
遺産分割というと、どうしても「あの土地がほしい」とか「預金は平等にすべき」などと、遺産をどうやって分けるかというところに目が行きがちです。
また、分け方に関連して、「兄さんは亡父から生前に贈与を受けていた」とか「私だけが病気の亡父を長年看病していたので評価してほしい」などと、特別受益や寄与分の主張にも囚われがちです。
さらに、被相続人の死亡直前の預金引き落としなども(いわゆる使途不明金)、お互いに責任を追及しあう挙句、分割協議が泥沼化する要因になってしまうことも少なくありません。
遺産分割協議であれば、あくまで当事者間の話し合いなので、お互いが納得するまでとことん話し合っていただいて良いのですが、調停は裁判所の手続なのでそういうわけにも行きません。限られた時間の中で解決に向けて手続を行う必要があります。
遺産分割調停の流れとポイント
そこで、遺産分割調停を進めるにあたっては、場当たり的に話し合うのではなく、決められた順序に従って話し合いを重ねていくのが一般的です。大きく分けると、次の3点を順に解決していく必要があります。
①「相続人の範囲」の確定(相続人は誰か)
これらが確定して、ようやく「では、具体的にどうやって分けようか?」という分割方法(分割割合)の話になります。前述した特別受益や寄与分などは、ここまで来てようやく登場する話になります。
①が確定しなければ、そもそも協議(調停)をするメンバーが決まりません。
②は分割する対象を確定する作業ですから、これも当然必要です。
なお、「遺産の範囲の確定と遺産分割の対象の確定」と記載したとおり、いわゆる遺産(=相続財産)と遺産分割調停で話し合いをする遺産とでは範囲が異なります(これについては別の機会にお話しをします。)。
そして、どのように分割するにせよ、それぞれの遺産の価値が分からないと分けようがないので、③が必要になります。
難しく考えなくても、手順を追って遺産分割をしようとすると、このような流れになってくると思います。
次回以降に続きます。
前述の①~③を検討していく過程において、実際にはいくつか検討が必要な事項が出てきます。
「遺言書がある場合どうするのか」
「使途不明金はどうするのか」
「相続債務はどうするのか」等々・・・。
今回は、遺産分割について総論的なお話しになってしまいましたが、次回以降の遺産分割のコラムで、より具体的な疑問点等のお話しをしていきたいと思います。
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以 上
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