遺産分割前の相続財産の管理
今回は、遺産分割が成立する前の相続財産の管理等について、お話ししたいと思います。
相続財産の共有
被相続人が死亡すると、法律上はその瞬間に相続が発生し、被相続人に帰属していた一切の財産は相続人に移転することになります。
相続人が一人であれば問題は起こりませんが、相続人が複数人いるとき(=共同相続と言います)は、「相続財産は、その共有に属する」とされています(民法898条Ⅰ)。
この「共有」という言葉の法律的な意味については議論があるところですが、ここで詳細を話しても意味がありませんので、「共有」という語の一般的な意味合い=「全員のもちもの」程度に考えていただければ良いと思います。
遺産分割成立まで誰がどう管理するのか
さて、相続財産の共有状態は、あくまでその後に遺産分割をすることを予定した暫定的な状態に過ぎません。
しかし、実際のところ、遺産分割にはそれなりの時間がかかることが通常で、暫定的な状態とはいえ、その間の相続財産の管理や利用等はどのようになされるべきかという問題があります。
相続人の管理義務の程度
民法では「固有財産と同一の注意をもって」管理しなければならないとされています(民法918条)。
これは、自己の財産を管理する場合と同程度の注意義務であって、他人物を有償で管理する際のような高度の注意義務(善管注意義務)までは要求されておらず、そういう点では注意義務の程度を軽減する規定となっています。
(なお、相続放棄をした者の管理義務は民法940条に規定されていますが、ここでは割愛します。)。
相続財産の管理の方法
民法の相続編のところには、共同相続された相続財産の管理について規定したところはありませんので、「共有」に関する規定(民法249条以下)を類推して考えていくことになります。
すなわち、相続人が共同で管理する場合は、各相続人がその相続分の割合に応じて、当該相続財産を管理する権限を持つことになります。
例えば、相続人が3人(各相続分は3分の1ずつ)であれば、少なくとも2人の合意が必要ということです。
なお、保存工事費用や固定資産税など、相続財産の管理にかかった費用は、「相続財産に関する費用」として相続財産から支出することができます(民法885条Ⅰ)。ただし、相続財産に現金がないなど、相続財産から管理費用を支出することが難しい場合は、相続人全員が、相続分に応じて負担することになります。実際のところは、遺産分割手続の中で調整、清算されることになると思います。
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以 上
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