破産と個人再生の選択基準
債務整理の手段として代表的なものに「破産」と「個人再生」があります。
巷ではよく「住宅を残したいときは個人再生」と言われていますが、基準はそれだけでしょうか。今回は、両手続の選択基準についてのコラムです。
破産と個人再生の選択基準
1 現在の収入から考える
ひとくちに「多額の負債を負って支払が困難」と言っても、現在無収入で将来的にも収入の目途がなくそもそも返済すること自体が困難な場合と、現在は働いているので一応収入はあるが、少しずつしか返済ができない場合とでは状況が異なります。
前者の方は、やはり破産を選択することが前提になってくるでしょう。後者の方は、相当程度減額された債務を分割して支払っていく個人再生も選択肢に入ってきます。
2 手元に残る財産から考える
破産の場合、原則として、すべての手持ち財産をお金に換えて債権者に分配します(一定の例外があることは、コラム「無一文になってから破産しない」をご覧ください。)
一方で、個人再生の場合、住宅ローンを支払い中の住宅を残せることはわりと有名な話ですが、その他の財産についても換価手続(=財産をお金に換えること)は行いません。
例えば、自営業者の方は、破産手続を選択して事業用の資産や売掛金等をすべて換価されてしまっては、そもそも今後の生活が成り立たなくなってしまいます。
また、サラリーマンの方であっても、破産手続で仮に保険を解約されてしまった場合(=解約返戻金のある保険は財産の一つです。)、年齢によっては再加入が困難な場合も出てきます。
このように、住宅を所有していない方にも個人再生を選択肢として検討する価値は十分にあります。
3 債務の内容から考える
例えば、借金の原因がすべてギャンブルであった場合、破産手続では免責不許可、すなわち借金がチャラになることが認められない可能性があります。
一方、個人再生では、そういった事情が当然に再生手続を認めない理由になるわけではありませんので、この点からも検討の余地があります。
4 手続にかかる期間や費用から考える
まず期間についてですが、個人再生の場合、開始決定がされてから6か月ほどが標準です。
一方、破産の場合は、手続の進め方によってまちまちですが、財産のほとんどない方であれば3、4か月、換価する財産のある方であれば半年から1年程度が多いでしょう。
次に費用ですが、個人再生の場合、個人再生委員(=手続全体を監督する方。裁判所が主に弁護士を選任します。)の報酬が約20万円程度、その他費用に1万数千円かかります。
破産の場合は、手続の進め方(同時廃止手続か管財手続か)によってまちまちですが、財産のほとんどない方であれば1万数千円のみ、換価する財産のある方であれば数十万円かかります(なお、両手続とも司法書士に依頼すれば別途その費用はかかります。)。
よって、換価する財産のある方を除けば、一般的には破産手続の方が費用は少額で済みます。
5 法律上の要件から考える
個人再生の申立てができる方の法律上の要件は次のとおりです。
ア 将来において継続的に収入を得る見込みがあること。
イ 住宅ローン等を除いた債務の額が5000万円以下であること。
ウ 申立人が個人であること。
なお、アの要件は、アルバイトやパートの方であっても、相当期間雇用が継続しているのであれば、今後もそのまま雇用されるであろうことが推測されますので、個人再生手続の利用は可能です。
流山パーク司法書士事務所にご相談ください
さて、ここまで破産と個人再生の選択基準について述べてきましたが、一番重要なことは、「自己の負債の状況をしっかりと把握すること」です。
どうしても破産には負のイメージがあるせいか、心情的に「破産したくない。」という気持ちはよく理解できます。
しかしながら、個人再生をして債務減額と分割弁済(=まとめて「再生計画案」と言います。)が認められても、いずれ破綻してしまうのでは何の意味もありません。
当事務所では、事前の法律相談はもちろんのこと、「破産申立書」や「個人再生申立書」などの各種裁判所提出書類の作成等,問題解決に向けて幅広くお手伝いをすることができます。
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以 上
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