DV~保護命令申立ての注意点2
今回は、DV(ドメスティックバイオレンス)に関して、配偶者暴力に関する保護命令のお話をしたいと思います。コラム「DV~保護命令申立ての注意点1」の続きになりますので、そちらもご覧ください。
今回は、保護命令申立て前に行うべきことについてご紹介していきます。
申立て前に行うこと
裁判所に正式に保護命令の申立てをする前にしておくべきことがいくつかあります。
1 事前相談
保護命令の申立てを裁判所にする前に、警察署や配偶者暴力支援センターにDVの相談に行く必要があります。
これは法律上の要件なので端折ることはできません。実際に各機関に赴いて相談する必要があり、電話相談では足りません。
警察署の場合は、生活安全課が担当することが一般的と思います。配偶者暴力支援センターは、地域によって「女性相談センター」など名称は様々で、1つの県内に数か所程度あるのが通常です。
裁判所に保護命令の申立てをした後、裁判所から、事前相談をした機関に対し、その相談内容を照会します。そのため、特に警察署で相談する場合は、必ず警察署に相談資料が残るよう、DVの相談をしたい旨を明確に伝える必要があります。
例えば、夫からひどい暴力を振るわれたため、110番通報をして警察を呼び、夫が現行犯逮捕されたとします。そうすると、通常は被害者である妻は色々と事情聴取されることになると思いますが、そこで作成される警察資料は夫の暴行罪に関する捜査資料であり、DVの事前相談としての資料にはならない可能性もあります。
そのため、このような事例の場合は、裁判所に保護命令の申立てをする前に、警察署に対し、先の事情聴取をもってDVの事前相談をしたことになっているか否か、後に裁判所からの照会があった場合に回答してもらうことができるか否かを、念のため確認しておいた方が無難だと思います。
2 住居の確保
すでに親族等の元に避難している場合や、夫の知らない場所に避難している場合は問題ありませんが、同居している場合は自己の住居の確保ができているかが問題になります。
保護命令は、申立てをすれば即日発令されるものではありません。生命身体の危険があるために申立てをするのですから、裁判所も出来る限り速やかに手続を進めるようにはしています。
しかしながら、注意点1のコラムでも述べたように、保護命令は違反すると懲役刑も含む強い効力があるので、発令前に、原則として相手方に反論できる機会を与えなければなりません。そのため、申立てから発令まで最短でも1~2週間はかかってしまいます。
そうすると、保護命令の申立てをしたこと自体は、申立書のコピーが裁判所から相手方に送付されることによって相手方も知るところとなり,そこから発令されるまでの間にそばにいることは非常に危険な場合もあり得ます。
住居の確保について親類や知人等の協力が得られない場合は、配偶者暴力支援センターに相談してみるのも一つの方法です。
3 その後の方針の検討
保護命令が発令された後のこともある程度考えておく必要があります。離婚など夫との関係をどうするのか、今後の自分(や子供)の生活をどうするのかと言った事柄です。
もちろん、夫のひどい暴力により命の危険を感じ、とりあえず保護命令の申立てをしておくということも十分あり得ます。
ただ、保護命令(接近禁止命令)は、発令から6か月間という有効期間がありますので、それを意識して行動をしなければなりません。
なお、当初の保護命令の発令から6か月経過する時点でも危険な状況が継続している場合には、「再度の申立て」という制度もありますが、もう一度裁判所が一から審理をするため、再度の申立てをすれば、単純にかつ無限に有効期間が更新(延長)される訳ではありません。
次回以降に続きます
引き続き、注意点3を是非ご覧ください。
以 上
合わせて家庭内の困り事のページもご覧ください。