少額訴訟にメリットはあるのか?後編
今回は、前編に引き続き、少額訴訟のメリットについて実務的な観点からご紹介していきたいと思います。
少額訴訟のメリット
前編では、少額訴訟について、一般的に言われている特徴と絡めてやや消極的な見解を述べるに終わってしまいましたので、今回は、実務的な視点から考えうる少額訴訟のメリットについてご紹介していきます。
裁判の場所と時間を確保してある
通常訴訟の場合、多数の事件を効率的に処理するため、多くの裁判所では、同一時刻に複数の事件の裁判期日を指定します。当事者が出頭した事件から順次裁判を行うといった手順です。
そして、その場で和解などが成立する場合をのぞいて、第1回目の裁判期日は5分から10分程度であっさり終わってしまいます。
簡裁の訴訟の場合は、専門家の代理人がつかない本人訴訟も多いため、裁判官とのやり取りに時間がかかるときもありますが、発言がある程度の量になる場合は、口頭ではなく書面で提出するように指示されますので、やはり裁判自体の時間はそう長くはならないです。
一方で、少額訴訟の場合、ラウンド法廷という特殊な法廷で時間を取って行うことが多いです。
丸いテーブルが置いてあるのでラウンド法廷と言いますが、それを関係者が囲んで会議をするような形で裁判をします。そして、裁判所としても少額訴訟は(通常訴訟以上に)なるべく1回で終わらせようと考えていますので、1件あたり1時間ないしそれ以上の時間を確保していることが多いです。
さらに、司法委員(裁判所が任命した民間の有識者)も裁判に参加させることが多いので、裁判手続内での話し合いにより柔軟な解決を図ることもできるようになっています。
このように、少額訴訟は実務上も(通常訴訟以上に)1回で終わるように配慮されていますので、これらの点はメリットと言えます。
なお、少額訴訟は、法律上、原則として判決も即日言い渡すことになっていますので、判決言い渡しまでまとめて1日で終わることが多いです。この点もメリットと言えます。
通常訴訟の場合も即日判決を言い渡すことはありますが、判決言渡しは後日とする裁判所も多いです。
少額訴訟債権執行ができる
少額訴訟で判決等を取得した場合、その裁判をした簡易裁判所において債権執行手続(=少額訴訟債権執行)を行うことができます。
もちろん、少額訴訟債権執行が可能な場合でも、地方裁判所において通常の債権執行手続ができますが、その場合は、債務者(被告)の住所地を管轄する地方裁判所で手続を行うため、地理的な要因(時間や費用)を考えると、少額訴訟債権執行に大きなメリットがある場合があります。
(補足)少額訴訟債権執行の注意点
少額訴訟債権執行を考えている場合は、申立て前に、該当する簡易裁判所に申立ての可否や必要書類を尋ねた方が良いと思います。
なぜなら、地方裁判所の債権執行を申立てた方が良い場合や、少額訴訟債権執行がそもそもできない(適していない)場合もあるからです。
また、少額訴訟債権執行の申立件数は多くないので、簡易裁判所によっては担当書記官が手続自体に不慣れで、事前の検討や準備が必要な場合もあるからです。そういう点も含めると、やや限定的なメリットになるでしょうか。
流山パーク司法書士事務所にご相談ください
2回にわたりご紹介してきました少額訴訟は、大変特徴のある制度ですので、その特徴を良く理解して利用することが肝要です。
当事務所では、少額訴訟は勿論のこと、通常訴訟、調停、支払督促など裁判所の手続全般について幅広くお手伝いをすることができます。
初回相談は無料で時間制限なく行っていますので、お気軽にお問合せください。ご連絡お待ちしております。
以 上
合わせて、債権回収のページもご覧ください。