破産申立ての必要書類その5(車検証ほか)
今回は、「破産の申立てに必要な書類」をご紹介するコラムの続編です。(コラム「破産申立の必要書類その1」)からご覧いただければ幸いです。
必要書類6 所有する自動車の車検証(登録事項証明書)及び査定書
車検証(登録事項証明書)
車を所有していれば、車検証は必ず提出が必要になります。なお、自動車保険料や車検代、ガソリン代などの支出は、家計全体に影響があるので、生活状況把握のため、同居者名義の車検証も提出が必要な場合があります。
査定書
査定書が必要か否かは、その車の年式によります。
多くの裁判所では、初年度登録から5年ないし6年(軽自動車だと4年など)で無価値と判断します。そのため、それよりも古い車の場合には査定書は原則不要です。
蛇足になりますが、ときどき、「破産者が、貸した金も返さないのに今でも高級車に乗っている。」などと裁判所に不服を言ってくる債権者の方がいますが、自動車を取り上げられずに乗り続けていられるのはこういった事情によるものです。
必要書類7 有価証券に関する資料
有価証券を有している場合は、銘柄や数などの基本的な特定事項と、その評価額がわかる資料が必要になります。
価格の資料としては、直近の新聞の株価情報やパソコン画面のコピーを提出することになると思います。
いわゆる「塩漬け株」の場合は、本人も忘れている場合が多いですので、通帳に配当金等の記載がないかチェックが必要です。
なお、ゴルフ会員権についても、同様の資料が必要です。
必要書類8 債権に関する資料(貸付金や、養育費など)
「貸しているお金がある」、「元夫から養育費を受け取れる」など、自分がお金を受け取れる立場にある場合の話です。貸付金は純粋に申立人の資産ですが、養育費は生活状況(収入)を確認するためのものでもあります。
調停調書や判決などの公文書があれば一番早いですが、ない場合は契約書や請求書等の資料を提出する必要があります。
なお、債権があっても回収不能の場合は、その理由がわかる資料が必要になります。
例えば、債務者が長期行方不明のため回収不能というのであれば、単に「行方不明のため」と一言理由を書くだけではなく、「陳述書」等の別の書面を使用して、詳細に行方不明に至る経緯を説明する必要があります。
どの程度の資料で足りるかは、債権額や回収の困難度等の個別の事情によります。
私が裁判所において経験したケースで、知人に対する300万円の貸金があるのに、単に「行方不明のため回収不能」と記載してきた申立てがありました。ところが、このケースの申立人の債務総額は300万円もなかったので、この債権の回収の可否は、そもそも破産する必要があるかどうかにも影響を与えるものであり、詳細な事情を追加提出させました。
その6へ続く
今後も破産申立てに必要な一般的な添付書類について記載していきたいと思います。その6はこちらからどうぞ。
以 上
合わせて債務整理・破産のページもご覧ください。
なお、破産手続については、以下のコラムがQ&A方式になっていて解り易いと思います。是非一度ご覧ください。
コラム「破産手続の質問(申立て編)」
コラム「破産手続の質問(不利益編)」
コラム「破産手続の質問(資産編)」
コラム「破産手続の質問(免責その他編)」