競売で不動産を購入する場合の流れ
今回は、競売手続に参加して不動産を購入する場合の大まかな流れを記載してみました。
1競売不動産の検索
競売手続中の不動産は、いつでも買い受けできる訳ではありません。裁判所が売却価額等の諸条件を検討し終えた不動産から順に売却手続に付されます(すなわち、売りに出されるということです)。
売却手続に付される不動産は、入札期間が始まる日の2週間前までに、裁判所内(物件明細書等閲覧室)に公告書が掲示されます。
公告書には、売却手続に付される不動産の表示や入札期間、開札期日、売却基準価額、買受可能価額、保証の額など、競売手続に参加するための基本的かつ重要な事項が記載されていますので、まずは公告書に目を通すことが大切です。
2競売不動産の調査
買い受けを検討したい不動産が見つかったら、次に、その不動産の権利関係などについてより詳しく調査していきます。
物件明細書等閲覧室には、当該対象不動産に関する「物件明細書」、「現況調査報告書」及び「評価書」の各写しをセットにしたファイルが備え置かれ、誰でも自由に閲覧ができる状態になっているので、自己の希望に沿った不動産なのかを確認することができます。
なお、前述した公告書と同時期にファイルが備え置かれますが、具体的な日程は裁判所ごとに異なります。
3点セット
前述した「物件明細書」、「現況調査報告書」及び「評価書」の三つの競売資料をまとめて「3点セット」と呼ぶことがあります。競売不動産の詳細を知るために最も基本的かつ重要な資料になります。
「物件明細書」には、当該不動産を買い受けた場合の権利関係が記載されています。
競売不動産は、買い受けした後、必ずしもまっさらな所有権が得られるとは限りません。買受人がそのまま引き継がなければならない賃借権がある場合もあります。また、対象不動産によっては、地上権(法定地上権)の成立の有無なども記載されます。
「現況調査報告書」には、土地の現況地目や建物の構造などの不動産の現在の状況のほか、占有者の氏名やその占有権原などが記載されています。
現況調査報告書は、執行官が現況調査を行った時点の現実の状況が記載されるので、調査時と入札時には一定の時間の経過があることに注意すべきです。
「評価書」には、不動産の評価額(売却基準価額の根拠)、その算出の過程等が記載されています。
また、その不動産の公法上の規制の内容、ライフラインの供給処理施設の整備状況などが記載されています。
3点セットを確認すれば、対象不動産の概要が理解できます。ただし、3点セットの資料はあくまで限定された手続の中で収集された資料なので、ここに記載されていることが全てではありません。
競売不動産を買い受けしようとする方は、現地で直接不動産を自分の目で確認したり(当然に対象不動産の敷地内に入れる訳ではありません)、法務局や市町村役場などの関係機関で、私法上及び公法上の権利関係を調査するなど積極的な調査が必要になります。
なお、全国の裁判所の不動産競売の情報は、インターネットでも閲覧することができます。「BIT」(ビットと読みます)と検索するとヒットします。
3買受けの申出
入札をしようとする人は、裁判所内にある執行官室で、入札書の用紙などの関係書類を入手し、必要事項を記載のうえ添付書類と一緒に提出することになります。
入札には、買受けの申出をするための保証(保証金)が必要です。通常は、売却基準価額の20パーセントですが、例外もありますので個別に確認が必要です。
入札期間が終わると、開札期日(通常、入札期間最終日の1週間後)に開札が行われます。
開札は、裁判所の売却場で執行官が行います。対象不動産(売却単位)ごとに最も高額をつけた人が「最高価買受申出人」と定められます。
なお、最高価買受申出人が提供した保証金は、そのまま裁判所で預り、売却代金の内金に充当されます。その他の入札者が提供した保証金は、開札後に返還されることになります。
4所有権の移転
1開札及び売却許可決定
裁判所は、売却決定期日(通常,開札期日の1週間後)に、最高価買受申出人に当該不動産を売却するか否かを決定します(売却許可決定)。
通常は、問題なく最高価買受申出人に売却許可の決定がなされますが、買受け資格を有していないなど一定の場合には売却が許可されないこともあります。売却許可決定により、最高価買受申出人は「買受人」という立場になります。
2代金納付
売却許可決定の確定後、裁判所は、残代金の納付期限を指定します。通常は、売却許可決定の確定の日から1か月ほどの期間が指定され、買受人は、この期間内に残代金の納付手続をします。
万一、期間内に代金納付手続をしなかった場合は、買受人は、当該不動産の買い受ける資格を失い、先に提供していた保証金は没収されてしまうので注意が必要です。
3登記
残代金が納付された時点で、買受人が当該不動産の所有権を取得します。代金納付後、裁判所は、買受人への所有権移転登記手続をします。また、買受人が引き受ける権利以外の不動産上の権利等の登記についても抹消登記手続をします。
4不動産の引渡し
前述したように、代金全額を納付した時点で、当該不動産は買受人の所有となりますが、実際の不動産の引き渡し(明け渡し)は当事者間での任意の交渉になります。裁判所が鍵を預かっているわけでも受け渡しの仲介をするわけでもありません。
そこで、買受人は、前所有者や占有者から不動産の引渡しを受けられない場合、裁判所に引渡命令の申立てをすることができます。
ただし、引渡命令はすべての占有者に対して発令されるものではないことに注意が必要です。また、引渡命令の申立ては、原則、代金を納付した日から6か月以内(事例によって9か月以内)にする必要があります。
この命令に基づき、買受人は執行官に対して、占有者等を強制的に立ち退かせる強制執行の手続を求めることができます。
流山パーク司法書士事務所にご相談ください
当事務所では、訴訟手続から、各種保全手続・執行手続のご相談、書類作成等を承っております。少しでもご心配な点があれば、まずは当事務所にご相談ください。
当初のご相談は無料で時間制限なく行っていますのでお気軽にお問い合わせください。ご連絡お待ちしております。
以 上