管財・同廃の振り分け基準額の変更

 千葉地方裁判所管内において、「管財事件と同時廃止事件の手続選択基準額」が変更されましたので、その点についてご紹介します。

司法書士 佐藤俊傑

管財事件と同時廃止事件

 「管財事件」の場合、破産手続が開始すると、裁判所が選任した破産管財人が破産者の財産を調査・換価して、債権者に配当をします。
 一方、「同時廃止事件」の場合、破産者の財産が僅少のため破産手続費用を捻出することができないとして、管財人を選任することなく破産手続が開始(かつ終了)します。

 管財事件においても配当手続をせずに終了する場合があります(異時廃止)が、いずれにせよ管財人が選任され破産者の資産調査等をするので、同時廃止事件に比べて手続に要する費用や日数がかかることが一般的です。

管財事件と同時廃止事件の振り分け基準

 千葉地方裁判所管内では、2017年11月1日以降の個人の自己破産申立事件について、管財事件と同時廃止事件の振り分け基準額が変更されることになりました。今後は、この基準を参考にして手続を選択し申立てをすることになります。

 以下は、千葉地方裁判所民事第4部破産再生係が2017年9月1日に発行した「破産Information(No.7)」に記載された内容を参考に記述しています。

 なお、振り分け基準は裁判所ごとに若干異なる点があること、管財事件と同時廃止事件の振り分けは、後述するように他にも検討すべき点があることなどに注意してください。

振り分け基準

 現金及びその他の財産が次に該当する場合は原則として「管財事件」として扱う。
 該当しない場合は原則として「同時廃止事件」として扱う。

現金について

(従前)20万円以上の現金がある場合
(現在)33万円以上の現金がある場合(直前に現金化されたものを含む)

その他の財産(預貯金、保険の解約返戻金、自動車、退職金請求権など)について

(従前)20万円以上の財産がある場合
(現在)項目ごとに合算した財産(現金をのぞく)の額が20万円以上の場合

 なお、現金以外の個別財産は、その項目ごとに合計額が20万円以上かどうかを検討することになります。

振り分け基準の具体例は次のとおりです。

例1)現金30万円+解約返戻金相当額15万円+預貯金10万円 → 同時廃止事件
例2)現金30万円+解約返戻金相当額25万円 → 管財事件

 手続の振り分けに影響を与えるその他の事由

1 所有不動産に住宅ローン等の抵当権が設定されている場合、その債務額が不動産価格以上(いわゆるオーバーローン状態)であって、その差が1.5倍以上ある場合は同時廃止事件として取り扱われます。

2 申立て時に資産の調査が不足しているため、管財人を選任して更に調査が必要な場合は当然管財事件とされます。さらに、負債を負った原因や経緯に問題がある場合も免責不許可事由の調査が必要になりますので同様です。

3 個人事業主の方は、事業の遂行に伴って資産や負債が形成されていくことが通常ですので、その過程を管財人が調査する必要があることが多く、原則として管財事件とされます。

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以 上

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