財産分与による所有権移転登記
今回は、離婚時に相手方から財産分与として不動産を譲り受けた場合の所有権移転登記(名義変更)手続の話です。
財産分与とは
財産分与とは、夫婦が婚姻中に協力して得た財産を、離婚する際(又は離婚後)に分けることをいいます。
夫婦間の協議で分け方が決まれば良いのですが、どうしても財産分与について話し合いがまとまらないときは、離婚時から2年以内に、家庭裁判所に対し、財産分与を求める調停(又は審判)の申立てをすることができます(民法768条)。
財産分与による所有権移転登記(名義変更登記)
財産分与した財産の中に不動産がある場合、財産分与の合意後に所有権移転登記(名義変更登記)をする必要があります。
財産分与による登記の申請人
財産分与による登記の申請は、分与をする人(あげる人)と分与を受ける人(もらう人)の共同申請により行います(なお、後に述べる裁判離婚・調停離婚の場合は除きます)。
申請人と登記する時期の関係
財産分与による登記の申請は、離婚の成立後(離婚届を提出した後)にしかできません。財産分与(の請求)というものが離婚に伴って発生する効果である以上、登記申請ができるのはあくまで離婚成立後ということになります。
そうだとすると、事前の合意に基づいて、いざ名義変更登記の手続をしようとしたら、元夫(元妻)の協力が得られないという事態も想定されます。そのため、ケースによっては、離婚届の提出前に登記に必要な書類もできる限り揃えておくなど事前準備が大切になってくることもあります。
(補足)公正証書の作成
離婚をする際に、慰謝料や養育費など金銭の支払いについて取り決めがあるときは、公正証書(離婚給付契約公正証書)を作成しておくことが有用です。これを作成しておけば、支払が滞ったときには直ちに強制執行手続をすることができるからです。
ただし、この公正証書を作成したとしても、協議離婚であることには変わりないので、財産分与による所有権移転登記(名義変更登記)については、やはり相手方の協力のもと共同申請により行うことになります。
財産分与による登記の必要書類
必要な書類は、協議離婚の場合と調停・裁判離婚の場合とで異なってきます。ここでは重要な点のみをご紹介しておきます。
1協議離婚の場合
協議離婚の場合には、前述したとおり、分与をする人(あげる人)と分与を受ける人(もらう人)が共同で登記申請をする必要があります。
そのため、元夫(元妻)に、次のような書類を提出してもらう必要があります。
①分与する不動産の権利証(登記識別情報通知)
②印鑑証明書(発行後3ヶ月以内のもの)
そして、さらに司法書士への委任状や、登記原因証明情報などにも署名押印してもらう必要がありますので、きちんと協議や事前準備ができていないと、なかなか大変な作業になってしまうことがあります。
2裁判離婚・調停離婚の場合
裁判離婚等の場合、分与を受ける人(もらう人)が単独で登記申請が可能です。ただし、和解調書や調停調書の場合は、単独で登記申請ができる条項になっているか、和解や調停の成立時には注意が必要です。
単独で登記申請ができるということは、前述した協議離婚の場合のように、元夫(元妻)に協力を求めて書類を提出してもらう必要がないということですので、登記手続自体はかなり簡便になります。
(補足)住所・氏名の変更について
離婚をすると、転居をしたり名字を戻したりすることにより、婚姻当時と住所や氏名が変更することは珍しくありません。
仮に、分与する人(あげる人)の最新の住所等が、不動産登記簿の住所等と異なる場合、財産分与による所有権移転登記を行う前に、住所(氏名)変更の登記が必要になります。
不動産登記簿の住所(氏名)と最新の住所(氏名)を合致させてから、財産分与による所有権移転登記をするということです。
なお、裁判離婚や調停離婚の場合は、この住所(氏名)変更の登記についても相手方の協力がなくても行うことが可能です。
流山パーク司法書士事務所にご相談ください
今回ご紹介した「財産分与による所有権移転登記」をはじめ、不動産の登記手続について少しでもご心配な点があれば、まずは当事務所にご相談ください。
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以 上