遺産分割手続未了のまま相続人の一人が死亡した場合
今回は、タイトルに記載した実務上よく見られる相続登記の事例を一つご紹介します。
遺産分割手続未了のまま相続人の一人が死亡した場合とは
本事例は、土地を所有する父(甲)が死亡し、相続人である母(乙)と子A及びBで遺産分割協議をしようとしていたところ、協議未了のうちに乙も死亡してしまったという例です。
相続登記手続をしばらく放っておいた場合などに起こる、実務ではよくみられる事例です。
相続人の地位の承継
相続人は、被相続人の財産に属した「一切の権利義務」を承継します(民法896条本文)。
ここでいう「一切の権利義務」とは、被相続人が所有していた不動産の所有権や、預金等の金銭債権など具体的な権利のみならず、消極財産(債務)や、財産上の法的地位も含まれると解されています。
そのため、相続人が承継する「一切の権利義務」の一つとして「遺産分割(協議)をする地位」も含まれていることになります。
二つの地位(資格)による遺産分割協議
以上からすると、本事例においては、被相続人甲の相続人は乙・A・Bです。そして、乙の死亡により、乙の「遺産分割をする地位」をA・Bが相続します。
結局、本事例では、A・B二人で遺産分割協議をすればよいことになるのですが、その実態は、A・Bは「甲の相続人として」かつ「甲の相続人乙の資格を承継した者として」遺産分割協議に参加することになるのです。
遺産分割協議書の例
上記のとおり、A・Bは、それぞれ二つの地位を有していますので、この趣旨が遺産分割協議書の文面から読み取れるように記載することが大事です。
例えば、遺産分割協議書の本文並びに住所氏名欄の記載は次のようになります。色々な記載方法がありますので、あくまで一つの例です。
(本文)
「平成28年6月1日、被相続人甲の死亡によって開始した相続における共同相続人は、本日、その相続財産について下記のとおり遺産分割の協議を行った。なお、被相続人の死亡後である平成28年10月1日、その相続人である乙も死亡したため、上記共同相続人には同人の相続権を承継した者も含まれる。」
(住所氏名欄)
住 所 千葉県流山市〇〇〇〇〇
相続人 兼 乙相続人 A
住 所 千葉県松戸市〇〇〇〇〇
相続人 兼 乙相続人 B
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以 上
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