数次相続と相続登記
数次相続が発生している場合の相続登記については、いくつか特徴的な点があります。今回は、中間の相続登記を省略できる場合の話です。
数次相続とは
数次相続とは、ある方が死亡して相続が開始したものの、その相続手続をしないでいるうちに、さらにその相続人であった方も亡くなってしまった場合のことを言います。
例えば、高齢の父が死亡し、その相続手続をしないうちに母も亡くなってしまったなどというケースです。
最初の相続(第一次相続)、次の相続(第二次相続)と複数の相続が続けて発生するため「数次相続」と言いますが、最初に亡くなった方(被相続人)が不動産を所有していた場合、その相続登記はどのようにするのかという問題が発生します。
相続登記の原則
相続登記(相続を原因とする所有権移転登記)は、相続が発生するごとに登記申請をする必要があるのが原則です。
上の図では、3件の相続が発生していますので、3件の登記申請をすることになります。
1件目 甲からA(持分1/2)及びB(持分1/2)への相続登記
2件目 AからCへの相続登記(持分全部移転登記)
3件目 BからDへの相続登記(持分全部移転登記)
数次相続の場合の例外
前述のとおり、相続登記は相続ごとに1件ずつ申請をするのが原則ですが、これには例外があります。
上の図のように、中間の相続人(A)が単独(1人)であれば、中間の相続登記を省略できることになります。
すなわち、2件の相続登記を申請するのでははく、1件の申請で直接、甲からB・Cへ相続登記をすることができるのです。
この場合の登記申請書の記載は、次のようになります(一部抜粋)。
登記の目的 所有権移転
原因 平成28年3月1日A相続、平成28年10月1日相続
相続人 (被相続人 甲)
持分2分の1 B
持分2分の1 C
「原因」欄の記載は、「平成28年3月1日(甲の死亡により)、Aが相続した。そして、平成28年10月1日(Aの死亡により)、申請人(B・C)が相続した」という意味になります。
このように、中間の相続登記を省略できると言っても、Aの相続の事実を全く無視するのではなく、「原因」欄にはその過程がきちんと公示されていることになります。
そのため、登記申請自体は1件で足りるとしても、戸籍等の相続関係書類は2回の相続を証明する全てのものが必要になってきます。
中間の相続人が1人ということ
数次相続の場合に、中間の相続人が1人のため中間の相続登記を省略できるという原理は、もともと中間の相続人が1人の場合だけに限られません。
例えば、中間の相続人は複数人いるが、遺産分割協議によりその中の1人が相続することになった場合や、他の相続人が相続放棄をしたことにより結果的に1人が相続することになった場合なども含みます。
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以 上
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