遺言執行者の選任
今回は「遺言執行者」についてコラムを書いてみました。
遺言執行者とは
遺言執行者とは、遺言の内容を具体的に実現する者のことを言います。
例えば、亡くなった方(=被相続人)が、遺言の中で「その所有する不動産を第三者に贈与すること」(=「遺贈」と言います。)としていたり、預貯金や有価証券などの相続の方法について定めたりしていた場合、登記手続や預金等の名義変更ないし解約手続など具体的な手続が必要になってきます。
そういった手続を実際に行い遺言の内容を実現する者が遺言執行者になります。
民法上は、その権限について、「遺言執行者は、遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する」と規定されています(民法1012条Ⅰ)。
遺言執行者の必要性
遺言の内容を実現するための手続の多くは、遺言執行者がいないのであれば、相続人自身が遺言の内容を実現すれば良いのであって、遺言執行者が絶対に必要とは限りません。
一方で、遺言により被相続人が子を認知する場合(死後認知。民法781条Ⅱ)や推定相続人の廃除・その取消し(民法893・894Ⅱ)をする場合などは、遺言執行者が必ず必要となる手続として規定されています。ただし、これらは事例自体がそもそも多くないと思われます。
遺言執行者がいる場合の特定遺贈・遺贈の登記
前述した遺言執行者の権限の規定に続けて、遺贈の履行については、「遺言執行者がある場合には、遺言執行者のみが行うことができる」と規定されています(民法1012Ⅱ)。
この点は、法律改正により、令和5年から遺贈の登記の申請方法が変わった点に影響があります。
すなわち、遺贈により不動産を取得した相続人(受遺者=登記権利者)は、単独で名義変更登記(所有権移転登記)の申請ができるようになりました。
ただ一方で、相続人以外の第三者に遺贈する場合は、従前のとおり、登記権利者と登記義務者が共同で登記申請をしなければなりません。
そうすると、遺言執行者がいないのであれば、遺言者の相続人全員と受遺者が協力して登記申請をすることになりますが、遺言執行者がいれば、遺言執行者と受遺者が協力して登記申請をすることができますので、遺言者の相続人が登記申請に直接関与する必要がありません。
このことは、相続人が多く手続が煩雑になってしまうことや、非協力的な相続人がいて手続が進まなくなることを回避できるメリットがあると言えます。
遺言執行者の選任
遺言執行者は、遺言書の中であらかじめ指定しておくことができます。
後述するように、後日、家庭裁判所で遺言執行者を選任してもらうこともできますが、手間暇を考えれば遺言書の中で指定しておく方が良いと思います。実際のところも遺言書の中で指定しているケースが多いと思います。
遺言書で遺言執行者が指定されていなかった場合(又は指定された者の死亡や辞任により遺言執行者がいなくなったとき)は、利害関係人の請求にもとづき家庭裁判所が遺言執行者を選任します。利害関係人というのは、遺言者の相続人や受遺者などが該当します。
法律上、遺言執行者になれない者は未成年者及び破産者です。
これ以外の者であれば原則として誰でも遺言執行者になれるので、遺言者の相続人のうちの一人や受遺者自身が遺言執行者になることも可能です。
流山パーク司法書士事務所にご相談ください
当事務所では、「遺言執行者の選任手続」や、相続や遺贈に基づく名義変更登記手続はもちろんのこと、「公正証書遺言の作成」及び当該遺言書の中で遺言執行者となることなど、相続や遺言についての問題解決に向けて幅広くお手伝いをすることができます。
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以 上
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