破産申立ての必要書類その1(住民票)
破産の申立てをする場合、「申立書」(財産目録や債権者一覧表を含む)以外にも必要な書類(添付書類)はたくさんあります。
ここでは、一般的に必要とされる書類について、数回にわたりご紹介していきたいと思います。
必ず申立てをする裁判所に確認する
まず前提として、破産申立てに必要な添付書類は、申立てをする裁判所によって取扱いが違います。以下はあくまで一般的な必要書類の説明であることをご了承ください。
各裁判所には、「必要書類一覧表」といった書面の用意が通常ありますので、必ず申立てをする裁判所に直接問い合わせするようにしてください。
受付担当者の視点から
実際に裁判所で破産申立書の内容を審査していた経験から、一般の方がよく疑問にもたれる点にスポットを当てて記載していきたいと思います。
必要書類1 住民票
裁判所に申立てをするのですから、住民票が必要なことは何となくご理解いただけると思います。特に、破産事件は、申立人の住所地よって申立てをすべき裁判所が固定されてしまいますので(=「専属管轄」と言います。)、その確認のためにも重要な書類になります。住民票のポイントは、次の点です。
ア 申立て前3か月以内に発行されたもの
イ 本籍地や続柄の記載の省略のないもの
ウ 世帯全員の記載があるもの
1 アについて
有効期限は法律で決まっているわけではないので、裁判所によって扱いが異なります。1か月とする裁判所もあります。
何かの機会に取得した古い住民票が手元にある場合、それを利用したい気持ちはわかりますが、その後に転居していた場合、裁判所は旧住所しか知らずに手続を進めてしまうので、後で転居の事実が発覚したときには非常に面倒なことになってしまいます。余計に時間や費用がかかってしまうこともありますので、古い住民票を提出するメリットは全くありません。
なお、上記に関連しての補足ですが、破産申立て後に引っ越しをする予定がある場合、必ず「事前に」裁判所に告知しましょう。競売等により強制退去される場合も同じです。
2 イ、ウについて
これらの記載は、申立人の収支や生活状況を確認するために必要です。
例えば、世帯の人数に比して特定の出費が高すぎるとか、未成年者や高齢者がいなければ受領できない給付の記載が通帳に認められる等、他の資料との整合性(=悪く言えば、隠し事をしていないか。)をチェックします。
3 住民票上の住所地に住んでいない場合
この場合、実際に住んでいる場所(「住所」に対して「居所」と言います。)を管轄する裁判所に申立てをします。
この場合でも住民票を提出する必要はありますが、それ以外に、実際の居所を証明するものが必要になってきます(例えば、アパートの賃貸借契約書、光熱費等の領収書、同居者作成の証明書など)。何があれば足りるかは個別の事情によります。
戸籍謄本
戸籍謄本は、住民票と異なり、当初から必要とする裁判所もありますが、必要に応じて提出することが多いと思います(申立人の資産に相続財産がある場合など)。よって、ここでは割愛します。
その2へ続く
今回は「住民票」についての記載だけになってしまいましたが、今後も破産申立てに必要な一般的な添付書類について記載していきたいと思います。その2はこちらからどうぞ。
以上
合わせて債務整理・破産のページもご覧ください。
なお、破産手続については、以下のコラムがQ&A方式になっていて解り易いと思います。是非一度ご覧ください。
コラム「破産手続の質問(申立て編)」
コラム「破産手続の質問(不利益編)」
コラム「破産手続の質問(資産編)」
コラム「破産手続の質問(免責その他編)」