簡易裁判所の手続 民事調停
今回は、裁判所の手続の中で最も身近な手続の一つである簡易裁判所の調停についてご紹介いたします。
調停とは?
簡易裁判所における紛争解決手続は、大きく分けて4つあります。
「(通常)訴訟」、「少額訴訟」、「支払督促」、「調停(民事調停)」の4つです。今回は、このうち「調停」についてのポイントをお話しいたします。
調停(民事調停)とは、裁判のようにきっちり勝敗を決めるのではなく、紛争当事者同士が話し合いをし、合意をすることで柔軟に紛争の解決を図る手続です。裁判官と、一般人から選ばれた調停委員が間に入り話し合いを進めてくれますので、当事者だけで話し合いをするよりも、両者が納得する解決を得られることが多いのです。
調停の主なメリット
1 申立て書類の準備が訴訟に比べて簡単
申立書には、当事者の住所氏名等の一般的な記載事項のほか、「申立ての趣旨」と「紛争の要点」の記載があれば足ります。
「申立ての趣旨」は、どういう調停を希望するのかという結論(例:5万円支払ってほしい。建物を明け渡してほしい。)を記載する部分です。「紛争の要点」は、どうしてそういう紛争があるのかという経緯を記載する部分になります。
経緯を記載するというと少し難しく感じるかもしれませんが、「事情を知らない裁判官と調停委員も、この申立書を読めばおおよその事情はわかってくれるだろう」という程度の基準のもと、自分なりの言葉で記載をすれば足ります。記載方法は箇条書きでも日記風(文章体)でも問題ありません。
訴訟の場合は、申立書(=訴状)の記載が足りないために申立てが却下されたり敗訴したりすることもあり得ますが、調停はあくまで話し合いの手続ですので、申立書から紛争の概要がわかれば、後は、調停期日の中で、調停委員が聞き取りをして主張を整理していってくれます。
また、証拠書類については、裁判官や調停委員に事情を知ってもらうためにはあった方が勿論良いですが、申立ての段階では用意できる範囲で構いません。
ただし、裁判所では1日に多くの事件を処理しなければならないため、1回の調停期日の時間は限られています。そのため、あまり口頭での説明ばかりだと、徒に調停期日の回数を重ねることになってしまいます。
そういった観点から、わかり易い申立書の記載方法や関係する証拠の収集について、できる限り努力、検討することが望ましいです。
2 費用が低額
申立てをする際に裁判所に納める手数料(収入印紙)は、訴訟の半額になっています。
ただし、例えば10万円の貸金の返還を求めるための手数料は、訴訟でも1000円(調停では500円)、100万円の貸金の返還を求めるための手数料は訴訟では1万円(調停では5000円)程度ですので、請求する金額によってはそれほど大きいメリットではないかもしれません。
なお、当初納付する郵便切手も、訴訟に比べて低額であることがほとんどです(実際の納付額は、裁判所ごとに基準があるので確認が必要です。)。
3 非公開で手続が行われます
通常の訴訟と異なり、調停手続は非公開の部屋で行いますので、傍聴人はおらず第三者に事情を知られることはありません。また、ケースによっては、当事者が本音を話せるように、相手方を離席させた上で、調停委員が一方当事者から事情を聞く場合もあります。
4 調停調書が作成されます
話し合いの結果、合意に至ればその合意内容を調停調書という公文書にして残します。裁判所が間に入った以上、単なる当事者間のお約束文書と違い、その内容に従って強制執行も可能となる強い効力をもった合意文書が調停調書です。
調停のデメリット
話し合いによる柔軟な解決ができることが調停のメリットですが、他方で、それがデメリットにもなります。
すなわち、調停の申立てがされた場合、裁判所から相手方に対し、調停期日の呼出状を送付します。「あなたに対しこういう内容の調停の申立てがされたので、いついつ裁判所に来てください。」といった内容の書面です。
ただし、調停はあくまで話し合いの手続のため、相手方は、裁判所に行く行かないは自由です。出頭しなくても実際のところ不利益はありません。
そして、実務上は、日にちを変えて2回以上呼び出しをしても何の連絡もなく相手方が出頭しない場合は、話し合いで解決できる見込みはないとして、調停手続は打ち切られてしまう(=裁判所の判断で強制終了されてしまう)のが通常です。
そうなると、申立てをした側は、単に時間と労力をかけただけで何ひとつ問題が解決しなかったということになりかねません。そのため、当該紛争の経緯や今までの相手方の対応などから、はじめから訴訟をした方が早かったという場合もありますので、調停申立て前にその点からの検討は必要です。
流山パーク司法書士事務所にご相談ください
前述したように、調停申立書の作成は、訴訟と比較すればそう難しくはないですが、そもそも調停手続が自分にとってベストの問題解決手段なのかどうかが一番判断に迷うところです。
また、調停で合意が成立したとしても、相手方がその合意に従わなければ、強制執行手続を検討しなければなりません。
当事務所では、「調停申立書」や「強制執行申立書」などの各種裁判所提出書類の作成等、問題解決に向けて幅広くお手伝いをすることができます。
初回相談は無料で時間制限なく行っていますので、お気軽にお問合せください。ご連絡お待ちしております。
以 上
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