被告が行方不明の場合の訴訟手続

 今回は、被告が行方不明の場合の訴訟で利用される公示送達について、ご紹介していきたいと思います。

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司法書士 佐藤俊傑

被告が行方不明の場合でも訴訟は進行可能

 被告(相手方)が行方不明であっても訴訟手続を進めることはできます。

 この場合、訴訟の中で被告に渡すべき書類(期日呼出状や判決正本など)は、郵便で送ることができないので、「公示送達」という方法を利用します。

公示送達とは

そもそも「送達」とは

 裁判所が事件当事者に文書を交付する場合、郵便で送付する場合もあれば、裁判所の窓口で交付することもあります。
 その中でも、「いつ、どこで、誰に、どういう書類を渡したか」を記録に残す厳格な交付方法が「送達」と言う手続です。
 訴訟が起こされたときに被告に渡す訴状や、訴訟の結論である判決を双方当事者に渡すときなど、一連の訴訟手続の中でも重要な書類については、法律上「送達」をすることになっています。

 なお、参考までに、裁判所は普通郵便で書類を発送することもありますが、普通郵便なので当然、受領者等の記録は残りません。これは「送達」に対して「送付」という言葉で使い分けたりしています。 

公示送達

 さて、「公示送達」とは、送達手続の一類型ですが、主に被告が行方不明などの理由により、その住所、居所、就業場所等一切が不明のときに行われる送達方法です。
(※正確には、公示送達は行方不明以外の理由でも使われるのですが、ここでは割愛します。)

 具体的な方法としては、被告が住所等不明である以上、郵便で書類を送付しても届かないので、被告に送付したい書類自体は裁判所(書記官)で保管しておきます。
 そして、裁判所の掲示板に「被告〇〇〇宛てのこういう書類を保管しているので、いつでも取りに来れば渡します。」との趣旨の掲示をします。

 今後、裁判所の前を通ることがあれば、どこの裁判所にも掲示板があるので探してみてください。おそらく「こんな所に掲示したって誰も気づかないだろう。」と感じると思います(笑)。
 しかし、法律上はそのように掲示して一定期間が経過すれば、被告がその書類を受け取ったとされてしまうのです。

 なお、蛇足ですが、話し合いの手続である調停では、相手方が行方不明では話し合いにならないので公示送達は無意味ですし、支払督促については、法律上、公示送達を利用するような相手方には使えないことになっています。

公示送達の申立て

 公示送達は、原則、当事者の申立て(通常は原告の申立て)が必要ですが、申立書の記載自体は難しくありません。費用もかかりません。
 ただし、被告の住所、居所、就業場所など送達をすべき場所が知れないことを証明しなければなりません。

大前提として、送達一般の重要性について触れておきます

 さきほど、一連の訴訟手続の中でも重要な書類については「送達」をすることになっていると述べました。

 すなわち、訴状は、それにより被告が裁判を起こされたことを知り反論の機会を得ることになる重要な書類です。また、判決は、それを受け取って内容を確認し、不服のある当事者は一定の期間内に上訴をする必要が出てきます。
 このように、送達手続は訴訟当事者の権利保護のために非常に重要な手続になります。

 そのため、訴訟中やその後の強制執行手続中に、それ以前に行った送達手続に何らかの瑕疵があることが見つかった場合、そこで手続が停滞したり、場合によっては今まで行ってきた手続全てがひっくり返る可能性もありうるくらい重要なものなのです。

現地調査の可能性

 他の専門家の方のホームページを見てみると、公示送達の申立ての添付書類として、被告の住民票や戸籍の附票、調査報告書などを列挙して記載しているものが多くあります。

 決して間違ってはいませんが、これだけ読むと非常にあっさりとした簡単な手続に読めなくもありません。

 ただ、一般の方が他人の住民票などを取得するのも負担感があるところ、ここでいう「調査報告書」とは、通常は「現地」調査報告書のことです。
 すわなち、被告が住民票上の住所地にいないことを証明するため、そこまで実際に行って調査してくるのです。そこが遠方であっても現地調査をするのが原則です。

 原告が会社の場合は、現地支店の社員に調査をさせたり、調査会社に調査をさせたりする例もありますが、こと原告が個人のときは非常に困難な場合も出てきます。

 なお、現地調査事項については、裁判所によっては参考書式等を用意しているところもあります。
 ただ、一般の方が他人の住居の外観を写真撮影したり、郵便受けやライフラインの稼動状況を調べたり、さらには近隣の人に聞き込みをしたりするということは、かなり負担に感じる作業ではないでしょうか。

 そして、実際に公示送達の申立てを認めるか否かは、個別の事件ごとの裁判所(書記官)の判断です。何を提出すれば必ず公示送達が認められるとか、この件は現地まで行かなくてもよい等は事前にはわかりません。

 このように、公示送達は、前述した送達手続の重要性から、決して手を抜くことはできない手続になっているのです。

流山パーク司法書士事務所にご相談ください

 当事務所では、上記送達の問題を含めて、訴訟(少額訴訟)、調停、支払督促など、裁判所の手続全般について幅広くお手伝いをすることができます。

 少しでもご心配な点があれば、まずは当事務所にご相談ください。
 初回相談は無料で時間制限なく行っていますので、お気軽にお問合せください。ご連絡お待ちしております。

以 上

 合わせて債権回収,または建物明け渡し・滞納賃料回収のページもご覧ください。

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